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債務整理

小規模個人再生と給与所得者等再生、どっちを選ぶべきか?

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、それぞれ対象者や手続きの内容が異なります。

債務を抱えて苦しんでいる方にとって、どちらの制度を選ぶかは重大な決定となるでしょう。

本記事では、両制度の概要や違いを詳しく解説した上で、どのような点を考慮して手続きを選択すべきかについてもアドバイスしています。

個人再生を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の相違点

個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの種類があります。

ここでは、それぞれの特徴や違いについて詳しく解説いたします。

小規模個人再生の概要

小規模個人再生は、将来的に安定収入が見込める個人で、無担保債務が5000万円以下の方を対象とした制度です。

この手続きでは、債務を大幅に減額し、原則3年以内で分割返済する計画を立てます。

例えば、1000万円の債務がある場合、200万円に減額した上で3年間で分割して返済することになります。

また、住宅ローンについては「住宅資金特別条項」を利用して、住まいを維持しながら返済することも可能です。

給与所得者等再生の概要

一方、給与所得者等再生は、将来の収入が安定している方に特化した手続きです。

この制度では、2年分以上の可処分所得を弁済原資とすることを条件とします。

その代わり、小規模個人再生よりも簡素化された手続となります。

例えば、月収30万円の方の場合、2年分の可処分所得は約720万円とされます。

これを元に返済計画を組むことになります。

給与所得者等再生では、債権者の同意は不要ですが、安定した収入が求められます。

両制度の主な違い

小規模個人再生と給与所得者等再生の手続きの流れは概ね同じですが、以下のような相違点があります。

債権者の同意の要否

まず、債権者の同意の要否です。

小規模個人再生では、債権者の過半数が再生計画案に反対した場合、手続きが廃止されてしまいます。

そのため、債権者の同意を得ることが必要不可欠です。

一方、給与所得者等再生では債権者の同意は不要です。

そのため、債権者の意向に左右されず手続きを進められ、円滑に進行しやすいというメリットがあります。

弁済額の違い

個人再生のどちらの手続でも、最低弁済額を定めます。

つまり、返済するべき金額のことを最低弁済額と言うのです。

最低弁済額を決める基準は、以下の3つです。

  1. 総借金額をベースに計算する「最低弁済額基準」
  2. 保有している財産額をベースにする「清算価値保障基準」
  3. 収入をベースにする「可処分所得基準」(給与所得者等再生のみ)

この3つの基準の中で、最も金額が大きいものを利用して決定します。

小規模個人再生の場合、1,2を基準として最低弁済額を定めます。

つまり、借金額と資産額で最低弁済額を決定することとなります。

これに対し、給与所得者等再生では、2年分の可処分所得以上も基準となります。

そのため、より多くの返済が求められる可能性があります。

【最低弁済額基準】
確定した借金の額最低弁済額
100万円以下減額されない
100万~500万円100万円
500万~1500万円5分の1
1500万~3000万円300万円
3000万円~5000万円10分の1

再申立ての制限期間

給与所得者等再生では、2回目の手続が出来ないことがあります。

前回の再生計画認可決定後、7年間再度の自己破産や個人再生が出来ないのです。

これは、手続きの簡素化の代償として厳しい制限が課されているためです。

一方、小規模個人再生にはこのような制限はありません。

以上のように、2つの手続にはそれぞれ異なる特徴や要件があります。

そのため、どちらを選ぶかは個々の状況をよく見極めて慎重に判断する必要があります。

どちらの手続きを選ぶべきか

小規模個人再生の開始決定後に給与所得者等再生へ変更したり、その逆を行うことはできません。

したがって、申立時にどちらの手続きにするか入念に検討しておくことが肝要です。

選択時の考慮ポイント

1. 将来的な安定収入の見通し

まずは、今後給与やそれに準ずる定期的な収入が見込めるかどうかがポイントとなります。

  • 安定した仕事に就いているか
  • 収入の変動幅が年収の2割以内に収まるか

などを目安に判断します。

定期的な収入が期待できる場合は、給与所得者等再生に適しています。

2. 向こう3〜5年間の生活設計

給与所得者等再生だと可処分所得の2年分以上の返済が必要です。

そのたっめ、今後3〜5年の間に、子供の教育費や親の介護費用など、まとまった支出が予定されている場合、返済が滞るリスクが生じ得ます。

そのような場合は、小規模個人再生のほうが適していることが多いでしょう。

3. 住宅ローン特則の適用

住宅資金特別条項を使う場合、住宅ローンの元本返済の一部を猶予する形で、再生計画期間中の住宅ローン支払額を減らせます。

ただし、利息以上の支払いは必要で、他の債権とは切り離して住宅ローンの返済を行う必要があります。

このとき、給与所得者等再生で可処分所得の2年分以上を返済しつつ、住宅ローンの利息と元本の一部も払うのは無理がある場合もあります。

そのような状況では、小規模個人再生のほうが望ましいと言えるでしょう。

これらの考慮事項を踏まえ、自身の状況に合った手続きを選択することが重要です。

手続き間の移行について

給与所得者等再生は小規模個人再生の特則であり、小規模個人再生は通常の個人再生の特則という位置づけになっています。

そのため、ある手続きの要件を満たさない場合でも、別の手続きの要件は満たしているということがあり得ます。

そのような場合、要件を満たさない手続きから、要件の緩やかな手続きへの移行が認められています。

ただし、実際には給与所得者等再生から小規模個人再生への移行はあっても、通常の個人再生手続きが利用されることはほとんどないのが実情です。

まとめ

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生は、債務額が5000万円以下で、将来の安定収入が見込める方に適した制度です。

一方、給与所得者等再生は、サラリーマンなど収入が安定している方に特化した簡素化された手続きとなっています。

両制度の主な違いは、債権者の同意の要否、弁済額、再申立ての制限期間などです。

どちらの手続きを選ぶかは、将来の収入見通し、向こう3〜5年の生活設計、住宅ローン特則の適用などを考慮し、慎重に判断することが重要です。

また、ある手続きの要件を満たさない場合、要件の緩やかな別の手続きへの移行が認められています。

個人の状況に合わせて、適切な再生手続きを選択することが、円滑な債務整理と経済的な再出発への第一歩となるでしょう。

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