借金700万円は、高金利と多重債務の罠に陥りやすく、自力での返済は非常に困難です。
月々の返済額が10万円以上になることもあり、長期間にわたって高い利息を払い続けなければなりません。
さらに、返済が滞ると法的措置やブラックリスト入りのリスクも。
しかし、債務整理を適切に選べば、借金問題を効率的に解決できる可能性があります。
任意整理、個人再生、自己破産という3つの選択肢から、自分の状況に最適な方法を見つけることが重要です。
それぞれの手続きにはメリットとデメリットがあるため、専門家の助言を参考に慎重に選びましょう。
本記事では、
- 借金700万円の返済が難しい理由
- 債務整理がベストの理由
- 手続きの選び方
などについてご紹介します。
借金700万円に悩まされている方は、ぜひこの記事を参考に、債務整理を検討してみてください。
正しい選択が、借金地獄からの脱出への第一歩となるはずです。
借金700万円が減らない理由
700万円の借金がなかなか減らない理由には、いくつかの要因があります。
その中でも特に大きな影響を与えているのが「金利による返済額の増加」と「多重債務の重圧」です。
これらの要因を深掘りしていきます。
金利による返済額の増加
借金には必ず金利がつきます。
つまり、借りたお金だけでなく、利息も返済する必要があるのです。
特に高金利の借金は、利息が膨れ上がり、返済額が思った以上に増えることがあります。
これが返済を長引かせる主な原因です。
利息が雪だるま式に増加
高金利の借金は、元本よりも利息の返済が優先されるため、元本がなかなか減りません。
例えば、元利均等返済方式では、最初のうちは利息の割合が多く、返済が思うように進まないことが多いです。
さらに、返済が遅れると延滞利息が発生し、返済額がさらに増えてしまいます。
延滞利息とは、返済期日を過ぎた後に追加で発生する利息のことです。
返済額の増加が生活を圧迫
高額な返済額は生活費を圧迫し、他の支出を削らざるを得なくなります。
結果として、返済が滞り、新たな借金を重ねてしまうという悪循環に陥ることもあります。
例えば、生活費が足りなくなり、クレジットカードのキャッシングを利用してしまうことが典型的な例です。
多重債務が引き起こす問題
複数の金融機関から借金をしている状態を多重債務と言います。
この状態になると、借金問題がさらに複雑化し、解決が困難になります。
特に、複数の借金を抱えることで、毎月の返済額が膨大になるため、返済管理が難しくなります。
多重債務の場合、各債権者に対してそれぞれの借金を返済する必要があるため、総返済額が大きくなります。
さらに、多重債務に陥ると、既存の借金を返すために新たな借金をするという悪循環に陥りがちです。
例えば、A社の借金返済が難しくなり、B社から新たに借金をしてA社への返済に充てるケースなどが挙げられます。
こうした行動は、結果的に借金総額を増やし、さらに状況を悪化させる原因となります。
700万円の借金返済シミュレーション
最後に、借金700万円を金利15%で借りた場合の返済シミュレーションを行います。
例えば、10年で完済する場合、月々の返済額は約11万円にもなり、家計への負担が大きくなります。
一方で、30年かけて返済する場合、月々の返済額は約5万円ですが、総返済額は大幅に増えることになります。
返済期間 | 月々の返済額 | 総利息額 | 総返済額 |
---|---|---|---|
10年 | 112,000円 | 約6,350,000円 | 約13,350,000円 |
30年 | 87,000円 | 約24,000,000円 | 約31,000,000円 |
80,000円 | 完済不可能 | – |
毎月返済額80,000円の場合
まず、利息のみを支払うケースです。
借金700万円の場合、最大の利息額で約8万5000円の支払いが必要です。
もし、毎月80000円の支払では、利息にも足りません。元金は全く減らないため、返済は事実上不可能となります。
毎月返済額87,000円の場合
30年で完済する場合、月々の返済額は約8万7000円に抑えられます。
しかし、返済期間が長くなるため、利息の総額は2400万円と大幅に増加し、最終的な返済総額は3100万円に達します。
これは10年で返済する場合と比べ、利息だけで約4倍もの支払いが発生する計算です。
このように、長期間にわたる返済は、利息の負担が重くなるというリスクを伴います。
借金700万円を10年で完済する場合のリスクと対策
借金700万円を10年で完済するためには、毎月約11万円の返済が必要です。
この金額を返済するには、収入の増加や支出の削減が不可欠となるでしょう。
これは多くの人にとって大きな負担となり、生活費に影響を与える可能性があります。
さらに、利息だけで600万円もの支払いが発生し、総返済額は1200万円に達します。
借金700万円が日常生活に与える影響
借金700万円を抱えることは、日常生活に深刻な影響を与える可能性があります。
返済が困難になると、法的措置や信用情報機関への登録といったリスクが生じます。
また、完済が一生できない状態に陥ることも考えられます。
以下に、そのリスクを詳しく解説します。
完済不能のリスク
借金の金利が高い場合、利息の負担が増え、返済が困難になることがあります。
特に、失業や病気などで収入が減少した場合、返済が滞ることもありえます。
また、新たな借金を重ねる「多重債務」のリスクが非常に高くなります。
このような状態が続けていても、一生完済には至りません。
法的措置のリスク
一度でも借金の返済が滞ると、債権者からの取り立てが厳しくなります。
例えば、電話や書面による催促が増えることとなります。
また、債務不履行が信用情報機関に登録されると、他の金融機関からの借入れが難しくなる「ブラックリスト入り」の状態になります。
さらには、裁判を起こされることもあります。
裁判で債権者が勝訴すると、給料や預金、不動産などの財産が差し押さえられるリスクを負うことになるのです。
ブラックリスト入りの影響
返済を怠ったり、借金額があまりにも大きすぎると、信用情報に事故情報が載ります。
いわゆる、ブラックリストに登録される状態です。
こうなってしまうと、金融機関からの信用を失い、住宅ローンや自動車ローンなどの大きな買い物をする際に融資が受けられなくなる可能性があります。
さらに、日常生活でも、クレジットカードが使えなかったり、携帯電話の契約が制限されるなどの不便が生じる可能性があります。
債務整理の手続きの種類と特徴
ここまでは、借金700万円の返済が相当に困難であることをお示ししました。
そこで、おすすめなのは、債務整理という手段です。
債務整理は、借金問題を解決するための法的手続きです。
大きく分けて3つの方法があります。
ここからは、任意整理、個人再生、自己破産について詳しく解説します。
任意整理とは
任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉する手続きで、利息のカットや元金のみの分割返済を行います。
この手続きの大きな特徴は、比較的簡単に進められる点と、裁判所を通さないため周囲に知られにくいことです。
しかし、全ての債務が対象になるわけではなく、債権者との合意が必要になります。
例えば、クレジットカードのリボ払いの借金だけを任意整理で処理し、他の借金はそのまま返済を続けることが可能です。
個人再生とは
個人再生は、借金を大幅に減額し、計画的に返済していく手続きです。
この手続きは、収入が一定以上ある方を対象としており、住宅ローンを抱えている場合でも、自宅を手放さずに済む可能性があります。
また、借金の一部を免除してもらうことで、返済計画を立てやすくなります。
ただし、手続きが複雑であり、裁判所を通すため時間がかかることが一般的です。
自己破産とは
自己破産は、すべての借金を免除してもらう手続きであり、借金から完全に解放されることが可能です。
しかし、その一方で、財産の一部を処分しなければならない場合があります。
また、他の手続きに比べてハードルが高く、生活や仕事に与える影響も大きいです。
例えば、自己破産後は一定期間、金融機関からの借入れが制限されることになります。
どの手続きが適切か
借金700万円の問題を解決するためには、
どの債務整理手続きが最適かは、それぞれの状況に応じて異なります。
債務整理の判断に影響を及ぼす要素一覧
- 借金総額
- 収入と返済可能額
- 財産やローンの状況
- 保証人や家族、仕事への影響
ここからは、各要素を考慮したうえでどの手続きが借金700万円に最適かを解説します。
1.借金総額と毎月返済額を考慮しよう
まず、借金総額と返済可能額がどの手続きが適切かを決める大きな要素です。
任意整理のケースで借金総額が700万円のときは、任意整理では月々の返済額が11万円を超える可能性が高いです。
これは、和解の際に3~5年で返済するように求められることが多く、それでは、金額が11~20万円程度になる可能性があるためです。
ただし、債権者との交渉次第で、返済額を減らすことができるケースもあります。
個人再生もまた、返済を前提とした手続きです。
個人再生では、原則として3年から5年の計画期間で、借金を大幅に減額して返済することができます。
借金700万円のケースでは、最大で140万円程度まで減額が可能な場合があります。
そのため、任意整理では返済が難しいが、収入と返済額のバランスによっては、個人再生が最適な選択肢となる可能性があります。
一方、自己破産は、返済が必要ありません。
そのため、収入が少なく、返済が困難なケースでは、自己破産が適切でしょう。
ただし、自己破産は、原則としてすべての借金を免除することができますが、一定の制限を受けることになります。
2.財産の保有を希望するか?ローンを組んでいるか?
自己破産や個人再生が最も減額幅が大きく、任意整理のケースでは借金減額幅が小さいということになります。
しかし、借金減額の幅だけで債務整理の手段を決めるのは妥当ではありません。
なぜなら、個人再生や自己破産のケースでは、財産を手放さないといけない場面があるためです。
例えば、自己破産のケースでは、住宅ローンや自動車ローンなどの借金がある場合は、その目的物となる財産を失う可能性があります。
個人再生のケースでは、住宅ローンは対象から外すことも可能ですが、ローンの残った財産は、手元に残せません。
また、自己破産のケースではローンの残っていない財産も処分の対象となり得ます。
個人再生のケースでは、財産は手元に残せる半面、財産相当額の返済を余儀なくされます。
そのため、借金減額ができない理由になり得るのです。
一方、任意整理のケースでは、債務整理の対象を自由に選べます。
そのため、ローンの残った自動車や車を対象から外すことも可能です。
また、財産を処分する必要もありませんし、それが理由で利息のカットを断られることもほとんどありません。
つまり、任意整理であれば、財産への影響は避けやすいのです。
3. 保証人や家族、仕事への影響を考えよう
次に、関係者への影響です。
まず、保証人が付いた借金を債務整理すると、その借金は保証人に返済義務が生じます。
そして、自己破産や個人再生では、原則として債務整理の対象を選ぶことができません。
そのため、保証人に影響が出る可能性が高いのです。
一方、債務整理の対象を選べる任意整理では、保証人への影響を避けられます。
次に、家族への影響です。
債務整理の手続きは、家族にも大きな影響を与えます。
例えば、個人再生や自己破産のケースでは、裁判所に家計収支を報告する必要があります。
この際には、家族の収入の証明書等を準備する必要があり、家族に影響が出ます。
また、引っ越しや財産の処分による影響も生じるでしょう。
一方、任意整理では、このような書類の準備や財産処分を避ける方法があります。
仕事や職場への影響も考慮するべきでしょう。
まず、自己破産のケースでは、一部の職業では職業制限をされることがあります。
また、個人再生、自己破産では裁判所に退職金の規定を提出する必要があります。
このような形で、影響が生じる可能性があり得ます。
一方、任意整理では上記のような制約はありません。
各要素を考慮した最適な手続きの選択を
上記の要素を総合的に判断し、最適な手続きを選択する必要があります。
収入が安定していて、ある程度の返済能力がある場合: 個人再生が最適な選択肢となる可能性があります。
収入が少なく、返済が困難なケース: 自己破産が検討されることがあります。
財産をできるだけ残したいケース: 任意整理が検討されることがあります。
借金700万円の完済は本当に可能か?
借金700万円を完済することは、多くの人にとって大変な問題です。
特に、長期間にわたって返済を続ける場合、金利や生活費の圧迫から返済が滞るケースも少なくありません。
例えば、10年で完済を目指しても、毎月の返済額が高額になり、生活に支障をきたす可能性があります。
こうした状況に陥った場合、債務整理がより良い選択肢となることがあります。
債務整理を行うことで、借金の減額や返済期間の見直しが可能となり、無理なく返済を進めることができます。
最終的に、どの手続きを選ぶべきかは、専門家と相談しながら決めることが大切です。
弁護士や司法書士のサポートを受けることで、自分に最適な解決策を見つけ、安心して生活を再建することができるでしょう。