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債務整理

小規模個人再生の進め方。債権者の同意が再生計画の鍵!

実は、個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

このうち、債権者の同意が必要なのは小規模個人再生だけなのです。
もし同意が得られない場合、再生計画案は認可されず手続きを進めることが出来ません。

この場合、再度の申立てや自己破産の選択肢もありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

本記事では、

  • 小規模個人再生における債権者の同意の重要性と具体例
  • 同意が得られない場合の対応策

について詳しく解説します。

個人再生における債権者の同意について

個人再生の手続きには、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

このうち、債権者の同意が必要になるのは小規模個人再生のみです。

給与所得者等再生では、債権者の同意は求められません。

ここでは、小規模個人再生における債権者の同意の重要性とその手続きについて詳しく説明します。

小規模個人再生における債権者の同意

小規模個人再生では、裁判所に個人再生を申立てた後、再生計画案を作成します。

再生計画案とは、減額された借金をどのように返済するかをまとめたプランのことです。

この再生計画案が作成されると、各債権者に対して、書面決議を求めることとなります。

これが承認されると、各債権者に対して、減額された借金を返済することとなるのです。

この再生計画案が実現するためには債権者の過半数が同意する必要があります。

具体的には、

  • 反対した債権者の人数が、総債権者の半数以上だった場合
  • 反対した債権者の債権総額が総債務の半額以上だった場合

という条件のどちらかを満たすと、再生計画は認可されません。

なぜ債権者の同意が必要なのか?

債権者の同意が必要な理由は、債権者に判断する機会を与えるためです。

債権者から見れば、個人再生をされたら、借金が全額回収できません。

そのため、債権者の意見を尊重し一定数の債権者の同意を得ることが求められるのです。

たとえば、借金を返済するプランが現実的でなかったり、債権者にとって不利な条件が含まれている場合、債権者は計画案に反対するでしょう。

このような意見を述べる場を与えるのが、書面決議なのです。

具体例

少しわかりづらいので具体的に3つの事例でお示しします。

債権者債権額
消費者金融A社300万円
消費者金融B社200万円
クレジットカードC社150万円
信販会社D社100万円
個人E1000万円
計5社計 1650万円

という会社から借り入れをしていたとします。

「反対者多数のため」否決されるケース

債権者債権額再生計画の賛否
消費者金融A社300万円反対
消費者金融B社200万円反対
クレジットカードC社150万円反対
信販会社D社100万円賛成
個人E1000万円賛成
計5社計 1650万円 

反対した債権者の債権総額は650万円(約40%)です。金額はクリアしています。

しかし、反対した人数が5票の中3票が反対をしています。

反対者の債権額の合計が過半数を越えているため否決されるケース

債権者債権額再生計画の賛否
消費者金融A社300万円賛成
消費者金融B社200万円賛成
クレジットカードC社150万円賛成
信販会社D社100万円賛成
個人E1000万円反対
計5社計 1650万円 

この場合、反対したのは5票中1票だけです。債権者の過半数は賛成しているので、人数はクリアしています。

ですが、債権額の約60%を占めるEが反対をしているので、再生計画は否決されます。

再生計画案が認可されるケース

債権者債権額再生計画の賛否
消費者金融A社300万円反対
消費者金融B社200万円反対
クレジットカードC社150万円賛成
信販会社D社100万円賛成
個人E1000万円賛成
計5社計 1650万円 

この場合、反対は5票中2票で過半数が賛成しています。

また、反対債権者の債権総額は500万円(約30%)です。

そのため、再生計画は可決されます。

債権者の同意を得られない場合の対応

もし、債権者の同意が得られない場合、再生計画は承認されず、個人再生手続きが失敗に終わる可能性があります。

では、その場合は、どうすればいいのでしょうか?

具体的な対処法としては、

  • 再度個人再生を申し立てる
  • 自己破産をする

の二つの方法が考えられます。

再度個人再生を申し立てる

個人再生は、減額された借金を継続的に返済することが前提であるため、収入の安定性が重要な要素となります。

そのため、定期的に収入を得られるようになってから再度申立てを行えば、認可を得られる可能性が高くなるでしょう。

なお、小規模個人再生では、申立ての回数や期間に制限がありません。

つまり、何度でも再度の申立てが可能です。

この点は、自己破産など他の債務整理手続きと比較しても、柔軟性が高いと言えます。

また、給与所得者等再生へ切り替えるという方法も考えられます。

給与所得者等再生は、同じく個人再生ですが、債権者の同意を要しません。

ただし、給与所得者等再生の場合には、特別の制約があることには注意が必要です。

まず、借金の減額幅が小さくなりやすいという点です。

また、給与所得者等再生の場合は、

  • 過去に一度、給与所得者等再生を認められている場合
  • 自己破産を経験している場合

は、手続開始から原則7年間は申立てができないという制約があります。

この点に注意し、ご自身の状況に合った個人再生の方法を選択することが重要です。

自己破産をする

もし、個人再生の要件を満たせない場合や、再生計画案が再度否決される可能性が高い場合、自己破産も選択肢の一つとして検討すべきです。

自己破産には、以下のようなメリットがあります。

まず、自己破産を行うことで、借金の全額または一部を免責(免除)してもらうことができます。

これにより、借金の返済義務がなくなり、新たに得た収入や財産は、原則として自由に使えるようになります。

たとえば、破産手続き後に新たな収入が発生した場合、それは債務者自身が自由に利用できるのです。

さらに、自己破産手続きを開始すると、財産の差押えや強制執行が止まるというメリットもあります。

これにより、債務者の生活が一定の安定を取り戻すことができます。

また、個人再生が不認可となった場合でも、自己破産を選択すれば、免責される可能性があります。

自己破産にはデメリットもある

ただし、自己破産にはデメリットもあります。

たとえば、住宅ローン特則により、ローン返済中の住宅を保護する個人再生とは異なり、自己破産では住宅が差押えの対象となります。

これは、自宅を手放さなければならない可能性があるため、慎重な判断が必要です。

したがって、借金額が大きく、住宅や車などを手元に残す必要がない場合や、再生計画案の不認可が予想される場合には、自己破産の方が適しているかもしれません。

たとえば、収入のめどが立たず、再度の個人再生が難しい状況であれば、自己破産によって早期に経済的再建を図るのも一つの手です。

まとめ

個人再生には小規模個人再生と給与所得者等再生があり、小規模個人再生のみ債権者の同意が必要です。
再生計画案が認可されるには、債権者の過半数の同意が必須です。
同意が得られない場合は、安定収入を得てから再度申立てるか、自己破産を選択します。
小規模個人再生は何度でも申立て可能ですが、自己破産では住宅が差押えの対象となります。
個人の状況に応じて適切な債務整理手続きを選択することが、経済的再建への鍵となるでしょう。

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