任意整理と仕事の関係
借金問題を抱えていると、「任意整理をしたら仕事をクビになるのではないか」「任意整理をすると就職や転職に影響があるのでは」と不安になるものです。
でも、ご安心ください。
実は、任意整理を行っても、現在の仕事を続けることは十分可能ですし、就職や転職への影響もほとんどありません。
そもそも、任意整理の事実が会社に知られる可能性は低いのです。
この記事では、任意整理が仕事や就職に与える影響について、詳しく解説していきます。
仕事は続けられる?任意整理と仕事の関係
任意整理で解雇になる可能性は低い
そもそも、任意整理を利用しても、職を失うリスクは一般的に低いと言えます。
任意整理とは、借金問題を解決するための手続きです。
通常は弁護士や司法書士が債権者との交渉にあたり、借金の返済条件が見直されるのです。
重要なのは、これらの専門家が、あなたの勤務先に借金問題の詳細を知らせることはないという点です。
さらに、債権者側も、あなたの職場に直接連絡を取ることはほとんどありません。
ですので、任意整理を行っている事実が会社に知られる可能性は非常に低いのです。
また、借金問題や任意整理をしていることが知られても、問題はありません。
法律上、任意整理や借金問題を理由とした解雇は認められていないためです。
労働契約法では、借金問題や任意整理など、個人的な事情を理由に解雇することは、原則として許されていないのです。
仮に給与が差し押さえられたり、自己破産をしたりしても、それを理由に解雇することは、労働契約法第15条に違反し、解雇が無効となる可能性が高くなります。
また、借金や任意整理を理由として、降格や降職を行うことも、一般的には人事権の濫用とされ、その効果が否定されるケースがあります。
さらに、不当解雇のケースがあれば、その無効を争うこともできます。
救済手段としては、労働基準監督署への申告等により、会社に改善を求められます。
例外的に解雇になることもある
このように、基本的には任意整理や借金問題を理由に解雇されることはありません。
ただし、いくつかの例外も存在します。
例えば、職場環境や業務に直接的な悪影響を及ぼすような場合です。
このようなケースでは、解雇の可能性もあるのです。
具体例をいくつか見ていきましょう。
債権者が会社に取り立てに来たケース
前提として、債権者があなたの会社に取り立てに来ること自体は、通常は懲戒処分の理由にはなりません。
しかし、長期間にわたって適切な対応を怠った場合には、例外的に懲戒処分を受けることがあります。
例えば、会社から、「業務に支障が出るので、借金問題への対応をするように」と言われているのにも関わらず、対応をしなかったケースなどが考えられます。
従業員間で金銭の貸し借りがあったケース
就業規則で従業員間の金銭貸借が禁止されている場合、その規則に違反すると、懲戒処分の対象となることがあります。
例えば、銀行の就業規則では、職員同士の借り入れを禁止しています。
これに違反すると、懲戒処分や解雇をされる可能性があります。
また、上司や役職と言った地位を使い、部下や同僚から借り入れも問題になります。
このような借り入れを行った場合も、悪質と見なされ解雇に至る場合があるのです。
不適切な相手からの借り入れが発覚したケース
不適切な相手から借り入れをしていると発覚した場合、それが職務に対する信頼性に影響を与えることがあります。
例えば、警察官が暴力団員から借金をしていた場合や、国土交通省の職員が建設会社から借金をしていた場合、職務の公正性が疑われることがあるのです。
このようなケースでは、解雇される可能性があると言えます。
とはいえ、これらのケースは非常に例外的です。
一般的には、任意整理や借金問題を理由として解雇される心配はほとんどありません。
任意整理をしても就職や転職に影響はあるの?
次に、任意整理が就職や転職にどのような影響を与えるかについてお話ししましょう。
基本的には、任意整理を行っても、就職や転職に大きな影響は少ないと考えられます。
ですが、いくつかの例外も存在するのです。以下で詳細に解説していきます。
就職や転職の際に信用情報がチェックされることはほとんどない
まず、一般的な就職に関して、任意整理が影響を及ぼすことはほとんどありません。
なぜなら、多くの企業は応募者の信用情報を直接確認することはないからです。
信用情報は主に、金融機関が与信審査の際に利用するもので、個人の返済能力を確認するために使われます。
また、個人情報保護法によって、信用情報は本人の同意がない限り、他の目的での使用は違法とされています。
そのため、一般的な企業が求人応募者の信用情報を確認することはないのです。転職の際も同様です。
任意整理を行ったことが転職に不利になることはほとんどないでしょう。
これは、転職先の企業も信用情報を確認できないためです。
したがって、基本的には心配する必要はないと言えます。
職種によっては少し影響があるかもしれません
しかし、職種や業種によっては、任意整理が影響を与えることがあります。
特に考えられるケースは以下の通りです。
金融機関や証券業等への就職を考えているケース
金融機関や証券業など、金銭を扱う職種への就職を考えている場合、任意整理が影響を与える可能性があります。
これらの業界では、過去に金銭トラブルがあった職員の雇用は避けられることがあるからです。
面接の際に借金問題について質問される可能性もありますし、入社時の書類で借金歴や債務整理の経験を確認されることも考えられます。
このような場合、「借金はない」と虚偽の申告をすることは、判明した段階で採用取り消しの理由になりかねません。
そのため、正直に申告することが重要です。
しかし、借金歴や債務整理を調べる対応は、かなり例外的なケースであるため、過度に心配する必要はないでしょう。
公務員のケース
公務員としての職を目指す場合、身辺調査が行われることがあります。
特に、警察や公安などの国家安全関連職では、より厳格な調査が行われる可能性があります。
調査の対象には、反社会的勢力との関係や犯罪歴、家族構成、人間性、政治団体との関わり、さらには3親等以内の親族が含まれることもあるのです。
当然、借金歴や金銭トラブルが調査対象となることもあるでしょう。
ただし、一般的な公務員(消防や役所の職員など)であれば、比較的緩やかな調査が行われることが多いです。
基本的には自己申告形式であり、重大な問題がなければ、職業への影響は少ないとされています。
したがって、借金歴や債務整理が影響を及ぼす可能性は非常に低いと考えられます。
このように、任意整理を行った場合でも、就職や転職に対する影響は比較的小さいと考えられます。ですが、特定の職種や業種では注意が必要です。
自分の状況に応じて、適切に対処することをおすすめします。
まとめ
任意整理は、借金問題を解決するための有効な手段の一つです。
任意整理を行っても、現在の仕事をクビになることはなく、続けることは可能でしょう。
なぜなら、任意整理の事実が会社に知られる可能性は低く、法律上も借金問題を理由とした解雇は認められていないからです。
また、就職や転職への影響も、ほとんどの場合は限定的です。
一般的な企業が応募者の信用情報を確認することはほとんどなく、転職先でも同様です。
ただし、金融機関や公務員など、一部の職種では注意が必要かもしれません。
いずれにせよ、任意整理は借金問題の解決に向けた前向きな一歩です。
専門家に相談し、自分に最適な方法を選択することが大切です。
任意整理を検討中の方は、まずは勇気を持って一歩を踏み出してみてください。
きっと、新しい人生への扉が開かれるはずです。