500万円もの借金を抱えると、自力での返済は非常に困難な状況に陥ります。
高額な利息により返済額が雪だるま式に膨らみ、生活費や貯蓄が脅かされるだけでなく、精神的にも追い詰められてしまいます。
借金が膨らむ原因は人それぞれですが、早期の対処が何より大切です。
そこで有効なのが債務整理です。
債務整理を行うことで、借金を大幅に減額し、将来の利息を免除することができます。
また、取り立てが停止することで、精神的な負担も軽減されます。
任意整理、個人再生、自己破産など、どの手続きを選ぶべきかは、個々の状況によって異なります。
ここでは、借金500万円からの脱却に向けて、各手続きの特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。
借金500万円の返済が難しい理由
サラリーマンの平均年収を上回る借金額
サラリーマンの平均年収は400万円前後と言われています。
つまり、借金500万円は多くの方の平均年収を大きく上回っているといえるでしょう。
多くの方にとって、年収を越えるほどの借金の返済の負担は、非常に大きくなります。
これにより、年収を超える借金は生活費や貯蓄を圧迫し、返済が困難になる可能性が高いです。
借金が年収を大きく上回ると、返済計画の見直しが必要になる場合が少なくありません。
この状況では、任意整理や個人再生などの債務整理が必要になることがあります。
借金500万円を自力で返済するシミュレーション
借金500万円を自力で返済することをシミュレーションしてみましょう。
元金500万円(年利15%)で計算した場合
返済月額 | 返済期間 | 利息総額 | 元利金総額 |
62,000円 | 返済不可能 | – | – |
82,000円 | 約10年 | 4,680,024円 | 9,680,024円 |
120,000円 | 約5年 | 2,136,958円 | 7,136,958円 |
例えば、年利15%で借金を返済すると仮定します。
この場合、利息は最大で62500円かかります。そのため、返済額62000円では利息にも足らず、返済は不可能です。
毎月の返済額が82000円だった場合はどうでしょうか?
この場合、返済期間は約10年かかり、利息の総額は4,680,024円と大きく膨らみます。
言い換えると、500万円をかえすために、ほぼ倍のお金を取られているということです。
借金500万円を任意整理で返済するシミュレーション
一方、借金500万円を任意整理で返済するとどうなるのでしょうか?
任意整理をした場合、利息をカットし、返済期間を延ばすことで、月々の返済額を減らすことができます。
毎月返済額 | 返済期間(回数) | 利息 | 返済総額 |
140,000円 | 3年36回 | 0円 | 5,000,000円 |
83,000円 | 5年60回 | 0円 | 5,000,000円 |
60,000円 | 7年84回 | 0円 | 5,000,000円 |
例えば、利息を0%にし、5年で返済すると、月々の返済額は約83,000円になります。
一般的には、返済期間は3~5年になることがほとんどです。
例外的により長期の返済期間を得られることがあります。
この場合は、60,000円程度まで返済額を減らせる可能性があると言えます。
つまり、自力返済をするよりも、任意整理をした方が、圧倒的に簡単に返済が出来るのです。
借金500万円を超えると、返済の原資が不足する
とはいえ、毎月60,000~130,000円と言う金額を準備し続けるのは、かなり困難でしょう。
といいますのも、先ほど申し上げました通り、日本のサラリーマンの平均年収はおよそ400万円前後です。
そして、一般的には返済に充てるのが無理のない範囲は、手取り月収の20~30%程度とされています。
例えば、ボーナスなどを考慮しない年収400万円の場合、手取り月収は約25万円です。
月々の返済額が5万円から7.5万円の範囲内であれば無理なく返済を続けることができます。
しかし、借金が500万円を超えると、返済額は80000円を越えることもあります。
さらに、ギリギリの生活を続けていることは、決して好ましい状態ではありません。
例えば、緊急の出費や予期せぬ収入減があると、直ぐに返済が出来なくなるおそれがあるのです。
そのため、年収を越えた借金がある場合は、自己破産や個人再生を検討することも視野に入れた方が良いと言われるのです。
どの債務整理手続きを選ぶべきか?
債務整理手続きを選ぶ際は、ご自身の状況や将来の計画に応じて慎重に判断することが大切です。
たとえば、
- 収入が安定しているかどうか
- 換金できる財産があるか
- 配偶者や子供などの家族がいるか
- 収入を増やすために転職や副業の計画があるかどうか
など、さまざまな要素を総合的に考慮する必要があります。
ここからは、債務整理の各手続きについて解説をしていきます。
任意整理
任意整理は、収入が安定しており、返済を続けられる見込みがある方に適しています。
この手続きを行うことで、利息の負担を軽減し、無理なく返済を続けることが可能です。
たとえば、年収500万円の方が任意整理を選び、利息をカットして月々の返済を行うことで、家計を圧迫せずに生活を立て直すことができます。
ただし、任意整理では、原則として利息をカットすることができますが、元金はほとんど減りません。
また、返済期間は通常3~5年程度となり、5年を超える和解は難しいです。
そのため、返済金額は6万円~14万円になる可能性があります。
ですので、事前に返済準備ができることが条件となります。
個人再生
個人再生は、借金が膨大で、任意整理だけでは返済が難しい方におすすめです。
この手続きを行うことで、借金を大幅に減額することが可能です。
たとえば、借金が500万円の場合、最大で100万円まで減額されることがあります。
これにより、返済月額を3万円程度まで減額できる可能性があります。
また、住宅ローンや財産を残したい方にも適しています。
個人再生を利用すれば、住居や自動車などの資産を失うリスクを減らすことができるため、生活基盤を守りながら債務を整理できます。
ただし、個人再生は手続きが複雑で時間がかかることが多いです。
そのため、専門家のサポートが不可欠です。サポートがない場合は裁判所に納める費用が上がる場合もあります。
また、同居している家族には、個人再生を内緒で進めることはできません。
さらに、信用情報には5年~10年の間、事故情報として登録されることとなります。
そのため、新しいローンやクレジットカードの作成が難しくなります。
自己破産
他の方法では解決が難しい方には、自己破産が最適となります。
自己破産を行うことで、借金をすべて免除されます。
これにより、借金問題を解決し、新たな生活をスタートすることができます。
しかし、手続きは非常に複雑で時間がかかるという点は、個人再生同様です。
多数の書面を一定の財産は処分しなければならない場合があります。
また、免責が下りない可能性もあるため、慎重な検討が必要です。
具体例とアドバイス
年収が安定し収入がある方には、任意整理も選択肢かもしれません。
利息をカットし、無理のない返済計画を立てることで、生活を立て直すことができます。
ただし、返済額が大きくなりやすいという点はデメリットが大きいと言えるでしょう。
年収が不安定な場合は、個人再生や自己破産も検討する必要があります。
特に、住宅ローンや手放したくない財産を抱えている場合は、個人再生であれば、残せる可能性があります。
一方、個人再生も返済を前提とした手続きです。そのため、借金500万円のケースでは、3万円程度の返済が必要となります。このお金が準備できない場合は、自己破産を検討しましょう。
自己破産の場合、返済は必要はありません。認められればすべて借金の支払いは免除となります。
ただし、手続きが厳格であり、職業制限等の制限も加えられます。
そのため、あくまで借金問題解決の最終手段とするべきです。
まとめ
借金500万円の返済は、年収を大きく上回るため、自力での返済は非常に困難です。
高い利息により返済額が膨らみ、生活費や貯蓄を圧迫するだけでなく、精神的なストレスにもつながります。
債務整理は、借金を大幅に減額し、将来の利息を免除することで、返済の負担を軽減できます。
任意整理、個人再生、自己破産など、それぞれの手続きにはメリットとデメリットがあります。
収入の安定性、財産の有無、家族の状況、将来の計画など、様々な要素を総合的に考慮し、最適な方法を選ぶことが重要です。
専門家に相談し、適切な手続きを選ぶことで、借金問題を解決に導くことができるでしょう。